夜の旅と昇天(4/6):第七天
説明: 預言者ムハンマドは預言者アブラハムに会い、諸天使が大挙して崇拝に勤しむ世界を目撃します。
- より アーイシャ・ステイスィー
- 掲載日時 09 Jul 2012
- 編集日時 09 Jul 2012
- プリント数: 151
- 観覧数: 24,745 (日平均: 6)
- 評価者: 0
- メール数: 0
- コメント日時: 0
天使ガブリエルと預言者ムハンマドは諸天の中で、奇跡の昇天を続けました。この旅は、いかなる人間の想像の範疇をも遥かに超えたものです。それはアラビア半島の砂漠地帯から始まり、既知宇宙を超越するものでした。第七天の門では、それまでと同じやりとりが繰り返され、天使たちは預言者ムハンマドとの対面を喜びました。入門の許可が下り、神の啓示を委託された天使ガブリエルを伴い、預言者は最終天に入ったのです。
第七天はキリスト教徒の使う慣用語「私は第七天にいる」という言葉からも分かるように、最高の喜びや至福の表現として使われます。イスラームにおいて、第七天は預言者ムハンマドと預言者アブラハムが出会った場所であり、実際彼(ムハンマド)は、こうした奇跡の旅という栄誉を与えられ最高の喜びと至福を感じていたはずでしょう。二人の預言者はお互いに挨拶の言葉「アッサラーム・アライクム」を交わし、他の預言者たちと同様、預言者アブラハムも預言者ムハンマドの使命における確信を表明したのです。
アブラハムは息子イシュマエルを通したアラブ人の父祖であり、預言者ムハンマドの祖先です。彼は息子イサクを通し、イスラエルの民(預言者モーゼの追従者)となった人々の祖先でもあります。ユダヤ教の伝統において、アブラハムはユダヤ人の父祖とも呼ばれます。しかし、クルアーンでは彼がユダヤ教徒でもキリスト教徒でもなかったと明記されていることから、イスラームではそうした観念を否定し、彼は純粋な一神教の信仰者であったとします。
“…何故あなたがたは、イブラーヒームのことで論争するのか。律法と福音とは、かれ以後に下されたのではないか。あなたがたは理解しないのか…イブラーヒームはユダヤ教徒でもキリスト教徒でもなかった。しかしかれは純正なムスリム、ハニーファ1であり、多神教徒の仲間ではなかったのである。”(クルアーン3:65,67)
ムスリムはすべての預言者たちを信じることが求められます。アブラハムは神の諸使徒の中でも特に重要な存在として、イスラームとキリスト教2双方の伝統において「寵愛を受けた神の僕」と呼ばれる特別な地位を有しています。アブラハムは息子のイシュマエルと共にカアバ(マッカの聖マスジド中央に位置する、黒い立方体の建物)を建築したのです。
“それからイブラーヒームとイスマーイールが、その家の礎を定めた時のこと。(その時二人は言った。)「主よ、わたしたちから(この奉仕を)受け入れて下さい。本当にあなたは全聴にして全知であられる。”(クルアーン2:127)
ムスリムは毎日の礼拝において、カアバ聖殿の方角に顔を向けて神へ祈り、アブラハムと彼の家族に祝福があるよう祈願しています。
天使の世界
預言者ムハンマドは第七天において、「アル=バイト・アル=マアムール(不断に詣でられる聖殿)」と呼ばれる建物を見せられました。預言者アブラハムがその聖殿と共にその場にいたことは相応しいことなのでしょう。なぜなら、それは天におけるマッカのカアバ聖殿に相当するものであるからです。毎年の巡礼期には、預言者アブラハムの例に従い、カアバ周回を含む種々の儀礼を行うため、200万人以上ものムスリムたちが世界中からマッカに押し寄せます。第七天における「不断に詣でられる聖殿」では、毎日7万の天使たちが訪れ、神を崇拝しているのです。預言者ムハンマドによると、天使は一度バイト・アル=マアムールを訪れると、二度と訪れることはないといいます。神はクルアーンにおいて、この聖殿において誓っています。
“不断に詣でられる聖殿にかけて”(クルアーン52:4)
毎日、7万もの天使が訪れているということは、一体何を示唆しているのでしょうか? 一体それは何千年、いや何億年と続いているのでしょうか? 神によって光から創造されたそれらの天使たちの数は、どれ位なのでしょう? このような奇跡を目撃し、それを私たちに説明したことは、預言者ムハンマドに与えられたもう一つの栄誉だったのです。この伝承において彼が私たちに伝えていることとして、諸天はうなりを上げており、またあらゆる空間はたとえそれが指四本分の空間であれ、天使一人によって神の崇拝のため占められていると述べられています。
最上界
預言者ムハンマドは、「スィドラ・アル=ムンタハー」と呼ばれる木のそびえる最上界に到達します。
“(誰も越せない)涯にある、スィドラ木の傍で。そのそばに終の住まいの楽園がある。”(クルアーン53:14−15)
彼はその果実は壺のようで、その葉は象の耳程の大きさであったと言い、四つの川がスィドラの木の根本を源流としていると述べています。預言者ムハンマドがそれらのことについて尋ねると、川の二つは楽園が源流であると答えられています。昇天の伝承の中でも、これら二つの川の名前や意義についてのものは残されていません。しかしながら彼は、残りの二つの川は人間の世界において特に祝福されているナイル川とユーフラテス川の複製であると告げられています。
スィドラ・アル=ムンタハーが最上界であると呼ばれるのは、地上または諸天から昇ってくる全てのものはそこで止まり、降りてくる全てのものもそこで止まる3からであり、また諸天使の知識もその地点で止まるからです。預言者ムハンマド以外には、その更なる上へと到達したことはないのです4。そこから先は諸天を超え、楽園や地獄、神の玉座を含む、来世の世界となります。預言者ムハンマドはその奇跡の旅を続け、その世界に入り、全能なる神の御前に立つことになるのです。
コメントを付ける