イスラームにおける悲しみの対処(4/5)

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説明: 試練を受ける者は、正しい者たちの仲間です。

  • より J.ハーシミー
  • 掲載日時 26 Aug 2013
  • 編集日時 26 Aug 2013
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Dealing_with_Grief_in_Islam_(part_4_of_5)_001.jpg災難が降りかかったとき、私たちは自らが誠実な神のしもべと同じ境遇にあることに誇りを持つべきです。預言者たちは皆、試練にかけられました。預言者アブラハム、そして彼の子(二人に神の称賛あれ)は、これ以上ない程の過酷な試練にかけられました。神はアブラハムに、息子のイシュマエルを犠牲に捧げるよう命じました。もちろん、この命令は預言者アブラハムにとって極めて困難なもので、愛する息子を失うことを想像するだけでも、とても悲しいことでした。しかし、預言者アブラハムは忍耐強く、神への服従を貫き通しました。彼だけではなく、イシュマエルも同様に従順し、自らを犠牲のために差し出したのです。

神が預言者アブラハムにもたらした試練は、彼の決意を試すためのものでした。もしも預言者アブラハムと彼の息子の信仰が弱ければ、この過酷な試練に落第し、神への強い信仰と従順に対しての偉大なる報奨を受け取ることもなかったでしょう。預言者アブラハムが息子に手を下す直前、羊が現れ、神は息子の代わりにそれを犠牲に捧げるよう命じます。その報奨として、彼らを地上における指導者として擁立することを神は約束しました。神は預言者アブラハムと彼の息子にこう述べます。

“そこでかれら両人は(命令に)服して、かれ(子供)が額を(地に付け)うつ伏せになった時、われは告げた。「イブラーヒーム(アブラハム)よ。あなたは確かにあの夢を実践した。本当にわれは、このように正しい行いをする者に報いる。これは明らかに試みであった。」”(クルアーン37:103−106)

クルアーンはこのようにも述べます。

“またイブラーヒームが、ある御言葉で主から試みられ、かれがそれを果たした時を思い起せ。「われはあなたを、人びとの導師としよう。」と主は仰せられた。”(クルアーン2:124)

預言者アブラハムが息子を犠牲に捧げるよう命じられた際、彼がためらったであろうことは疑いありませんが、彼は全能なる神への従順を貫きました。人が嫌うことの中には、善きこともあるのです。神はこう述べます。

“自分たちのために善いことを、あなたがたは嫌うかもしれない。また自分のために悪いことを、好むかもしれない。あなたがたは知らないが、アッラーは知っておられる。”(クルアーン2:216)

もう一つの例として、預言者ヨセフ(神の慈悲と祝福あれ)のものがあります。クルアーンは、彼がその人生の中で直面した試練と苦難の詳細を多く述べています。彼の父は、彼をこよなく愛しましたが、そのことは彼の兄たちを酷く嫉妬させました。彼らは共謀してヨセフを深い井戸の底に突き落としました。キャラバンが井戸を通りがかったとき、彼らの内の一人が桶を垂らすと、こう言いました。「吉報だ!男の子がいるぞ!」そして彼らはヨセフをエジプトまで連れて行き、奴隷市場に売り払ったのです。エジプト知事が彼を買い取り、ヨセフは彼のもとで精を出して働きました。知事のもとでは、試練が過酷さを増しました。知事の妻は非常に美しい女性でしたが、彼女はヨセフを誘惑しようとしたのです。これはヨセフにとっての大いなる試練でしたが、彼は彼女の誘惑を忍耐と共に断り続けました。ある日、知事の妻は誘惑と共にヨセフを襲い、彼の衣服を破きましたが、その瞬間に彼女の夫が部屋に入ってきました。彼女は襲いかかって来たのはヨセフの方だと言い訳しましたが、彼の衣服が後ろから裂けているのに気付いた知事は、妻に対して全能なる神に悔悟するよう忠告しました。彼女は、預言者ヨセフをものにしようと計略を練りました。彼女は、彼が彼女を受け入れるか、または投獄されるかという2つの選択肢を与えたのです。彼は後者を選び、投獄されることになりました。

私たちに災難が降りかかったときは、預言者ヨセフが被った試練について想いを馳せるべきでしょう。預言者ヨセフは奴隷にされ、数年間の投獄生活を味わいましたが、それらを通して彼は忍耐し続けました。彼は降りかかった災難に対して決して憎悪の感情を抱かず、神に対して嘆願し続けました。そしてようやく、多くの年月を経て、神は預言者ヨセフの忍耐に報いたのです。彼は獄中である男に出会い、ヨセフは神によって与えられた能力を使って彼の夢解釈をしました。彼は男が解放され、国王の召使いになるであろうことを告げました。その予言は現実のものとなり、男は国王の召使いとなったのです。

ある日、国王は夢を見ました。クルアーンにはその逸話が述べられています。

“(エジプトの)王が言った。「わたしは7頭の肥えた牛が、7頭のやせた牛に食われているのを(夢に)見ました。また穀物の7穂が緑で、他(の7穂)が枯れているのを見ました。首長たちよ、あなたがたが夢を解け得るならば、このわたしの夢を解釈して下さい。」”(クルアーン12:43)

預言者ヨセフの元同房者は、エジプト王の召使いだったため、すぐにヨセフのことを思い出しました。彼は預言者ヨセフのことを国王に告げると、ヨセフは夢解釈を求められました。預言者ヨセフは国王に対し、7年間の豊作期の後、7年間の飢饉期が訪れることを告げました。彼は飢饉のための備えがあるよう、豊作期において穀物を蓄えておくよう助言しました。

国王は預言者ヨセフに大いに感謝し、彼を解放しただけでなく、政府の長官職に就かせました。こうして神は逆境を通して大きなる善を確立させたのです。もしも預言者ヨセフが井戸に放り込まれず、奴隷として売り払われず、また不正に投獄されなければ、彼は国王に発見されず、偉大な権威を持つ役職にも就けなかったでしょう。預言者ヨセフがそれらの苦難を通り抜けてきたのは、その地位を得るためだったのです。それゆえ、私たちは人生における困難に対して前向きであり続けなければならないのです。苦難を被っているその時には分からないかも知れませんが、もしかすると、神はより大きな善を私たちにお望みかも知れないのです。

また、預言者ソロモンも、異なった方法で試練を受けました。彼には莫大な富と権力が与えられました。歴史は富と権力が腐敗することを実証しています。しかし、預言者ソロモンは、神を畏れ、敬虔であり続けた数少ない国王だったのです。クルアーンはこう述べます。

“またわれらはスライマーン(ソロモン)を試み…彼は(神へと)立ち返った。”(クルアーン38:34)

実に、すべての神の預言者たちは試みられました。このことは、神が誠実なしもべたちに試練を与えることを指し示しており、私たちは彼らと同じ祝福を受けていることについて誇りを持つべきです。また、私たちは試練において忍耐し続けた彼らの態度も見倣うべきなのです。

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