創造の目的とは(3/3):ヒンズー教の伝統

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説明: 人類の歴史における最も難解な問題に関しての序説と、その答えを見つけ出すことの出来る源泉についての議論。第三部:ヒンズー教聖典の概観、そしてそのテーマに関する結論。

  • より Dr. Bilal Philips
  • 掲載日時 11 Jan 2010
  • 編集日時 11 Jan 2010
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全ては神である

ヒンズー教の聖典では、神々の存在やそれらの化身、また神の人格について説き、全てはブラフマンという神であると教えます。しかしそこではあらゆる生物の我(アートマン)は実際にはブラフマンであるという信条にも関わらず、バラモンという司祭階級が生まれながらに精神的優越性を持つ、抑圧的なカースト制度が発展しました。彼らはヴェーダ(宗教文書)の師であり、儀式における清浄さや社会的威信といった理想を象徴します。一方で、シュードラと呼ばれる最下級層は宗教的地位から除外され、彼らの唯一の役割はカーストにおける他の三姓と、そこから派生する何千もの副カーストに対し“素直に従事する”ことなのです。

ヒンズー教の一元論哲学者によれば、人類の目的とは自らの神聖についての悟りであり、輪廻の車輪から解脱(モクシャ)する道(マルガ)を進み、人間の魂(アートマン)を究極の実存であるブラフマンと同化させることであるといいます。バクティーの道を歩む人々にとっての目的とは神を愛することです。なぜなら神が人類を創造したのは“父が子との関係を楽しむように、良い関係を持つこと”だからです(Srimad Bhagwatam)。一般ヒンズー教徒としては、日常生活でカーストを守り、伝統的儀礼・風習を続けることを主な目的とします。すなわち、法(ダルマ)の道です。

ヴェーダ宗教のテキストはその殆どが祭火への犠牲を中心としたものですが、それはヒンズー教の教義・実践によって浸食されました。ヴェーダの権威と神聖さは事実上、全てのヒンズー教宗派・伝統の中心的教義を占めています。ヴェーダは四つの書で構成されており、その中ではリグ・ヴェーダ(“節々の英知”)が最古のものと言われています。それらのテキストでは、極めて難解な表現で神が描かれています。リグ・ヴェーダによって映し出された宗教は、天や大気に関連した神々をなだめることを主要とする多神教であり、その神々の中でも最も重要なものとしてインドラ(天と雨を操る神)、ヴァルナ(宇宙の秩序の支配者)、アグニ(火神)、そしてスーリヤ(太陽神)などが挙げられます。後世のヴェーダ文書においては、初期リグ・ヴェーダの神々に対する関心が薄れ、あらゆるものを司るプラジャパティー(創造物の主)に対し犠牲を捧げる汎神論が取って代わるようになります。ウパニシャッド(宇宙の真理に関する奥義書)では、プラジャパティーは宇宙における至高の実在とされるブラフマンの概念と同化するようになり、その人格の全てを駆逐し、それらの神話を抽象的哲学へと変化させました。もし人類にとって、これらの聖典の内容が全ての導きだったのであれば、それは神が神自身と創造の目的の双方を人類から隠すためであったに他ならないと結論付けざるを得ません。

神は混乱の著者ではなく、人類に難儀を突きつける存在でもありません。ゆえにかれが最後の啓示を人類に下した1400年前、かれは人類の全世代に渡ってそれが保持されることを保障したのです。その最終啓示であるクルアーン(コーラン)において、神はかれの預言者を介し、人類の創造の目的について、人間に理解が出来るよう詳細を明確にしました。この啓示による基礎、そして預言者による解説により、私たちは“なぜ神は人間を創ったのか?”という質問に対しての的確な答えを導き出すことが出来るようになったのです。

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