両親への孝行(パート1/3):義務と献身

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説明: クルアーンにおける両親に対する教え。

  • より アーイシャ・ステーシー(ゥ 2009 IslamReligion.com)
  • 掲載日時 06 Dec 2009
  • 編集日時 09 Aug 2021
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Kindness_to_Parents_(part_1_of_3)_001.jpgもしあなたがグーグルで“両親への孝行”という言葉を検索すれば、最初の10の検索結果の内の6項目は、両親への孝行と義務の重要性を強調したイスラームの記事を見つけるでしょう。どうしてでしょうか?イスラームは慈悲、忍耐そして尊敬といった性質に重きを置く宗教です。神は、両親へのよい待遇を定められ、彼らを無礼に扱うことに対して忠告されています。クルアーンのいくつかの節には、両親への孝行は神のみを崇拝することとともに、イスラームにおいて最も重要なことであるとあります。これは両親に孝行であること、彼らに敬意を払い尊敬することがイスラームの生き方で大変重要であることを示しています。

“あなたの主は命じられる。かれの他に何者をも崇拝してはならない。また両親に孝行しなさい。もし両親かまたそのどちらかが,あなたと一緒にいて老齢に達しても,彼らに荒い言葉を使わず,親切な言葉で話しなさい。” (クルアーン 17:23)

どのような無礼な言葉も両親に向かって発せられるべきでなく、憤りまたは軽蔑の視線さえも向けられるべきではありません。もし神の命令を遵守し、かつ全能の神を喜ばせるという意図のもとに親孝行するのであれば、それは一つの崇拝行為の形であると見なされます。

神はこの同じ節の続きで、両親はその子供たちを時には多大な犠牲を払うことも厭わずに優しさをもって育てたのであり、その意味でも孝行に値するのだ、と私たちに喚起しています。ここで神が用いている「翼」という言葉はその雛鳥を優しくいたわる母鳥のイメージを思い浮かばせ、それによって子供に対する両親の優しさを連想させるのです。

“そして敬愛の情を込め,両親に対し謙虚に翼を低く垂れ(優しくし)て,‘主よ,幼少の頃の私を愛育してくれたように,2人(両親のこと)の上に御慈悲を御授け下さい。’と(折りを)言うがいい”。 (クルアーン 17:24)

愛と慈悲は最も慈悲深い神から発されるものであり、それらは両親とその子供たちの間に存在するいたわり合いの中に明白に表れています。神は両親を悪く扱うことをはっきりと禁止され、そしてクルアーンの別の節では私たちに、私たちの創造者であるかれと同様に私たちの両親にも感謝を示す必要があると命ぜられています。

“われは,両親への態度を人間に指示した。人間の母親は,苦労にやつれてその(子)を胎内で養い,更に離乳まで2年かかる。「われとあなたの父母に感謝しなさい。われに(最後の)帰り所はあるのである。” (クルアーン31:14)

預言者ムハンマドは両親への孝行の義務を確認しています。ある時預言者の教友の一人が、人が行うことの出来る最も神に愛されるような多くの善行とは何か、尋ねたことがありました。預言者ムハンマドは彼に、“定められた時間に礼拝することだ”と答えられました。それからその教友は尋ねました。“それではその次は何ですか?”預言者ムハンマドは“あなたの両親に良く、忠実であることです”と答えました[1]。親孝行の義務は、イスラームの最重要義務である礼拝の次に来るものです。

孝行以上に

両親への親切、という表現においてクルアーン及び預言者ムハンマドの伝承で使われているアラビア語は「ビッル」です。そしてたいていの場合、その言葉は孝行と訳されます。しかしながら、多くのアラビア語の言葉は英語へ直訳すると、その意味の深さをうまく説明することが出来ません。「ビッル」にはただ単に孝行だけではなく、親切や慈悲、尊敬や忍耐といった意味も含んでいます。イスラームという生き方はこれら全ての性質を網羅していますが、ムスリムは全てにおいて、そして特に両親と子供たちの関係において、このような性質に則った振る舞いの手本となる努力をしなければなりません。

両親はその全人生において子供たちを世話し養育しますが、ある時点でこの義務は逆となり、両親は年老い衰弱し、今度は彼ら自身が世話と助けを必要とするようになります。子供は「ビッル」の全てのたちを踏まえつつ、そしてそこにおける報酬が神からあることを知りつつ、両親の世話をする義務があります。預言者ムハンマドはこう言いました:「これら3つの性格‐弱い者への優しさ、両親への愛、そして奴隷への親切‐をもつ者は、神が彼に安らかな死を与え、そして天国へと導かれるであろう。」

ある男の献身

アブ―・フライラは預言者ムハンマドに近い教友の一人でした。彼は預言者の多くの言動を記録し、伝えることで人々の信頼を得ました。アブ―・フライラの人生はまた、彼の母への愛と献身の多くの印で溢れています。彼が最初にイスラームに帰依した時、彼の母にも同じようにするように説得するだけの力はありませんでした。彼はこのことで嘆き悲しみ、恐れる余り、預言者のもとに行って、神に彼の母が導かれるよう嘆願してくれるよう彼に頼みました。預言者ムハンマドはこの願いに応じ、そして間もなくアブ―・フライラの母は“アッラー以外に神はなく、ムハンマドは神の僕で使徒である”と証言し、イスラームに帰依しました。

アブー・フライラは彼の生涯を通して、彼の母への孝行と思いやりを貫きました。彼が家を出る時にはいつも彼女の部屋のドアの前に立ち、“お母さん、あなたに平安がありますように。そして神のご慈悲と祝福がありますように”と言い、そして彼女は“そして息子よ。あなたにも平安がありますように。そして神のご慈悲と祝福がありますように”と返していたものでした。そしてまた彼は彼女に、“あなたが幼かった時の私の世話をしてくれたことゆえに、あなたの上に神のご慈悲がありますように”と言い、一方彼女は“私が老いた時の間違いから私を導いてくれたことに対して、あなたの上に神のご慈悲がありますように”と返したものでした。

アブ―・フライラは他の人々に対してもいつも、両親に孝行するようにと励ましました。ある日彼は、2人の男が共に歩いているのを見、若い方に“この男性はあなたにとって誰ですか?”と尋ねました。すると若い男は“彼は私の父です”と答えました。アブ―・フライラは“彼を名前で呼ばないように。そして彼の前を歩かないように。また彼が座るまで座にはつかないように”と助言しました。

アブ―・フライラと彼の母のこの優しさと献身は、相互の尊敬と愛が義務であることを私たちに教えてくれます。ムスリムは例え両親がムスリムでなくとも、彼らに敬意を払わなくてはなりません。そして彼が両親に示せる一番の愛は、神に彼らがイスラームに導かれるよう希望をもって祈願することです。預言者時代、イスラームに帰依した多くの者は、彼らの両親の信条や要求と衝突したものでした。しかし彼らは、両親から神への不従順となるような要求を除いては、親孝行であるよう命じられたのです。

だがもし彼ら(両親)があなたに,あなたの知らないものをわれに(同等に)配することを強いても,彼らに従ってはならない。だが現世では懇切に彼らに仕え,悔悟してわれの許に帰る者に従え。やがてあなた方はわれに帰り,われはあなた方の行ったことを告げ知らせるのである。” (クルアーン31:15)

両親への義務を果たし、彼らに従順かつ親孝行であることはイスラームの教えに適ったことです。しかし神への服従は常に第一で、イスラームにおける最優先の義務なのです。

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